もったいない話2

その日はテンションが下がっていました
。というのも前の日にいつもとは違う床
屋に行ってしまいました。待ち人数が凄
くて他のお店に行ったのでした。
そこで、変なカットにされてしまったん
です。2センチくらいカットして下さいと
いったのにだいぶ短く切られてしまいま
した。思い出せば、周りの客もみんな同
じカットでした。そういうお店だったの
です。
しょうがないので生えてくるまで辛抱す
るしかありません。そんな感じでモテ効
果もくそも自信のかけらもない心理状
態で通勤の電車に揺られていました。
その中ではひとりのおばさんと目が合
いました。この変な髪型が気になるのか
なと思いましたが、良く分かりませんで
した。ただ、じろじろと見ていたのは事
実です。こっちも気になったんでおばさ
んのほうに目がいきましたが、正直どう
でもよかったです。
電車が駅に着くと人が乗り込んできまし
た。若い女性が2,3人乗ってきました。
右のほうに25、6くらいに見える女性が
いました。ジーパンにチェックのシャツを
着ていて洗練されている女性でした。
(なんかいい感じだな)と思って見てい
ました。すると、こちらの視線に気づいて
彼女が近寄ってきたんです。
それが面白いことにつま先を滑らせなが
ら距離を縮めてきたんです。そして僕の
前にきました。なんか変な光景でしたね。
すいているので彼女が自分の前にいるの
が不自然な感じがしたんです。彼女と目
を合わせたいと思って顔を見ていたので
すが、こちらを見てはくれませんでした。
ただ吊革につかまりながら何回か体を接
近させてきました。不自然です。
っていうか完全にアプローチです。
そわそわして体を接近させてきました。
MHMのリュックが似合う素敵で魅力的
な女性でした。
声をかけてくれるのを待っている感じで
したが、僕の方はちょっと驚いてしまっ
て何もしませんでした。
ほどなくして自分が下りる駅に到着しま
した。何もできずに下車したんですが、
なにかしら声をかけるなりすればよかっ
たと後悔しています。

なんでもいいから。どうせもう会えない
のですから。

あーもったいない。後悔しかありません
でした。